死肪肝
皆さん、死に至る脂肪肝なんて馴染みが無いと思いますが、確かに脂肪肝が脂肪性肝炎になり、肝線維症から肝硬変、肝がんという顛末をたどる人の数はあまり見かけない感じかがします。なぜなら、統計学的に言うと、脂肪肝の人の0.5%~4%が10年から20年かけて肝硬変になり、その後5~15年で肝がんが発生すると言われていますので、最小で15年、最大で35年かかることから、まだ私たちの目につかないのです。これから確実に増えてきますので、気が付いたころには既に第三の国民病と呼ばれているかも知れません(第一が結核、第二がウイルス性肝炎)。これだけではなくなぜ脂肪肝が怖いかと言うと、メタボリックドミノの出発点であるからです。脂肪肝をそのままにしている、すなわち生活習慣を見直さないでいると早晩、高血圧症、糖尿病、脂質異常症を発症し、その後、動脈硬化症による心血管、脳血管障害、腎機能障害などを併発し、死に至ることが予想されます。実は私も医者の不養生と言われてしまいますが、脂肪肝を放置していたため、2年前に心筋梗塞を起こして、生死を彷徨よった経験があります。こうならないためにも脂肪肝の予防を早めに行うことや早期診断と早期治療介入をすることが重要となるのです。私の言っていることは拙著「死肪肝」幻冬舎刊に書いてありますので、是非参考にしてみて下さい。
犀星の杜クリニック六本木