脂肪肝は気づかないうちに起こっています。肝臓の数値が基準を超えていなくてもエコーやCTの画像でみるとうっすらと肝臓に脂肪が溜まっていることがあります。特にGOTあるいはGPTが正常範囲でもどちらか一方が31単位を超えた場合は、たとえγGTPが正常値でも、肝臓への脂肪沈着が始まっている可能性があります。健診でも30代ぐらいの若い世代の人にも脂肪肝やその疑いの人が多くみられるようになってきました。ハイカロリーの食習慣と30代から新陳代謝が低下し始めるのが原因と考えられます。
しかし、ごく初期の段階では脂肪肝は「症状のない肝臓病」というのが実体です。肝臓はよく「沈黙の臓器」とよばれますが、自覚症状が出た段階ではかなり進行しているという場合も多いので、自覚のない時期にFIB-4 index*(GOT,GPT,血小板数で算出)、エコーやCTで早期発見を行い、早期治療介入をするために脂肪肝の進行度を評価することが重要です。進行度は肝脂肪量と肝硬度評価されます。侵襲の大きい肝生検をせずに、進行度を評価する唯一世界的に認められているのが、フィブロスキャンです。フィブロスキャンについてはコラムを参照してください。また脂肪肝は、さまざまな生活習慣病を合併することも多いので、放置すればそれらの合併症により死につながる場合もある実は恐ろしい病気です。
*:FIB-4 index= (年齢×AST(IU/L))/(血小板数(109/L)×√ALT(IU/L))
1.3以上は肝線維化の可能性のある脂肪肝