間葉系幹細胞治療―今、最も注目される革新的治療

再生医療とは、病気やケガなどによって失われた組織や臓器を再生させ、機能を回復させようとする医療のことを指します。今までの医療では、義肢や人工関節を用いたり、他人の臓器による移植などが行われてきましたが、これらの方法には臓器移植後の拒絶反応、また倫理面など多くの問題があります。これに対し、現在世界中の研究者がしのぎを削っているのが従来医療の課題を克服し、新たな治療の可能性を広げる再生医療の研究です。2014年には世界で初めてiPS細胞からつくられた網膜色素上皮細胞の移植手術が行われ、次世代の再生医療の扉を開く大きな一歩が踏み出されました。今後もパーキンソン病や、心不全の患者さんへの臨床研究が計画されており、20年後には心臓や腎臓などの臓器そのものを作製することも可能になるのではと大きな期待が寄せられています。最近の再生医療で特に期待が高いのは幹細胞と呼ばれる特殊な細胞を利用した治療で、中でも、生体に存在する体性幹細胞に着目した研究です。体性幹細胞での治療は、安全性が高いと言われており、倫理上の問題もないため大きな期待が寄せられています。

私たちの体は37兆個の細胞で構成されており、その細胞を生み出す元となる細胞が幹細胞です。体のいたるところに存在して各臓器や血液、皮膚などをつくり出しています。幹細胞には二つの特出した能力があり、一つは、自分と全く同じ細胞を複製することができる能力(自己複製能)で、幹細胞を長期に渡り維持することができるというもの。もう一つは、様々な種類の細胞へ分化する能力(多分化能)で、これにより病気やケガで組織がダメージを受けても幹細胞が新しい細胞を生み出し、その組織は再生すると考えられています。現在、再生医療を見据えた研究が進められている幹細胞は主に三つに分類されます。①受精卵からつくられる幹細胞で、すべての細胞になる能力がある「ES細胞(胚性幹細胞)」、②皮膚など体細胞から取り出した細胞に特定の遺伝子を入れて樹立したもので、ES細胞同様にあらゆる種類の細胞になれる「iPS細胞」、③生体の各組織にあり、特定の細胞に分化する能力を持つ「体性幹細胞」です。

当クリニックでは、自由診療にて、高濃度ビタミンC療法を行っています。ぜひ一度お試しください。
高濃度ビタミンC療法は、次のような症状に効果が期待できます。症状、治療内容によって、ビタミンCの1回の投与量、回数は変わります。
当クリニックで使用している高濃度ビタミンCは、酸化防止剤を不使用です。米国メリット社製より、正規代理店を通して輸入しているため、品質に関してもご安心いただけます。

ポテンシャルが高い 脂肪幹細胞

幹細胞は様々な細胞に分化する能力を持つ

これらの幹細胞の中で、実用化という面で最も進んでいるのが体性幹細胞です。人工的につくられるES細胞やiPS細胞と異なり、体性幹細胞は私たち自身の体内で実際に働いています。
例えば、赤血球や白血球・血小板など血液の細胞をつくる「造血幹細胞」、神経細胞をつくる「神経幹細胞」、骨・軟骨・脂肪・神経など様々な組織をつくることができるとされている「間葉系幹細胞」などがそれです。

間葉系幹細胞のうち、2001年に脂肪組織中から脂肪肝細胞が発見されると、骨髄幹細胞の100〜1000倍もの幹細胞を比較的容易に確保できること、また、脂肪組織だけでなく骨や軟骨、心筋細胞、また血管を形づくる細胞に分化する能力も保持していることなどが証明され、現在は脂肪幹細胞による臨床応用が多く行われています。
脂肪幹細胞の主な働きには、創傷治癒・分化・免疫調節・新生血管形成などが挙げられ、すでに糖尿病や心筋梗塞・脳梗塞・肝機能障害・アレルギー疾患、変性炎症性疾患(変形性膝関節症)、自己免疫疾患(関節リウマチ)、肺線維症など、様々な病気に対する治療への適用が試みられており、それらの治療効果が報告がされ始めています。
脂肪幹細胞はこの後に述べる臍帯、歯髄および、羊膜の幹細胞と異なり唯一の自家移植となりますので、より安全性は高いと言えます。
間葉系幹細胞には他にも臍帯幹細胞、歯髄幹細胞、羊膜幹細胞があります。臍帯幹細胞は安定的に手に入れることが脂肪幹細胞より困難でありますが、脂肪幹細胞の培養上清液と比較して細胞増殖、抗炎症作用の強いサイトカインを多く含みます。

他家移植となりますが、当院でも採用を予定しています。歯髄幹細胞は子供の乳歯から採取したもので、細胞増殖に関連するサイトカインを多く産生するため、再生増殖能が高いといわれています。特に神経再生に関わるサイトカインが多いと言われており、特に脳梗塞、血管障害、歯周病によいとされています。
当然、他家移植となります。羊膜幹細胞も他家移植となりますが、間葉系幹細胞の中でも増殖性が高く、免疫抑制作用が強いと言われております。特に炎症性疾患に対する効果が注目されています。当院でも将来的に採用を計画しております。
骨髄幹細胞は神経細胞に分化する性質が強く、神経再生能も高いと言われています。しかし、骨髄を採取する技術と経験を要し、しかも幹細胞の含有率が低く、幹細胞の培養技術も難しいため、一般のクリニックではあまり普及していないのが現状です。主に造血幹細胞として血液疾患の治療に用いられています。

このように脂肪幹細胞以外の間葉系幹細胞は他家移植であり、アナフィラキシーなどの拒絶反応のリスクが想定され、日本での実用化はあまり進んでいないのが現状ですが、胎児や乳幼児の組織を用いているため、免疫原性が低く免疫寛容の状態にあると言えますので、比較的安全性は高く、これから日本においても利用されていくことが予想されます。

当院は2022年11月に、変形性膝関節症を治療対象疾患として自家脂肪組織由来の培養間葉系幹細胞を用いた治療に関する第二種再生医療等提供計画を厚生労働省に提出し、計画番号を取得しました。(NA8150002)。

なお、当院では細胞加工に信頼のおける㈱カネカの関連会社のバイオマスター社に依頼しています。

以下に本治療の流れを説明いたします。

初診から治療までの流れ

  • 本治療の前に、まず感染症検査(B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)、パルボウイルスB19、梅毒トレポネーマ(TPHA,RPR)、マイコプラズマ、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バール ウイルス(EBV))を行い、すべて陰性の方が本治療が可能となります。血液検査の結果、加工作業ができないとなった場合は初診料と血液検査代金のみご負担をお願いいたします。(費用後述参照)
  • 悪性腫瘍を患っている方はお受けいただけません。
  • 体調の良くない場合や、血液の状態によっては、ごく稀に作製が出来ない場合もあります。その際には再度採血をお願いする場合があります。
  • 初診時に膝関節のX線写真および、MRI検査画像を持参していただきます。手元に無く入手困難な方、もしくは6ヶ月以内に各検査未施行の方は、関連施設のみなと芝クリニックや近隣の画像検査専門医療施設で検査を受けていただきます(自己負担金なし)。

1X線検査

  • Kellgren-Lawrence分類のグレード2~4の変形性膝関節症であることを確認します。

2MRI(核磁気共鳴)

  • 関節内の軟骨や半月板の損傷程度を評価します。

3投与

  • エコー下にて関節腔を確認して脂肪幹細胞を確実に投与します。

4術後検査 MRI(核磁気共鳴)

  • 術後経過の評価を行います。

費用

スマートフォンの方は「右スライド」でご覧になれます→

初回診察料 5,500円(税込み)
感染症検査 16,500円(税込み)
画像検査料 X線
関連施設のみなと芝クリニックや近隣の画像検査専門医療施設で自己負担金なしで受けられます(ただし健康保険証所有者)。
MRI  片側  33,000円(税込み)
関節腔内注射 細胞数 3千万個 1回分 1,300,000円 (税込み)
1億個  1回分  1,500,000円 (税込み)
3千万個  3回分  1,800,000円 (税込み)

お支払いは原則、同意日となります。
クレジットカードでお願いします。

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