がんリスク早期診断

当院ではがんリスクの早期検出の手段として、線虫によるN-NOSEとマイクロRNAを用いたマイシグナルを採用しています。患者さんの目的によって、使い分けています。これらの検査の違いを説明していきます。

N-NOSE

線虫の嗅覚受容機構は哺乳類に類似しており、受容体の数も約1200個とヒトより3倍多く、線虫が反応するがん特有の匂いの正体は現在、解析中でまだ解明されてないそうですが、がん細胞のメタボローム(代謝物)のうち、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds(VOCs))ががん患者さんの呼気や尿に表れることに注目しています。尿での研究はまだ少なく、肺がんでは2-Pentanoneが知られているに過ぎません。本検査ではがん腫の種類を同定できず、23種類(口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がん、食道がん、胃がん、消化管間質腫瘍(GIST)、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頚がん、子宮体がん、すい臓がん、肝臓がん、前立腺がん、卵巣がん、胆管がん、胆のうがん、膀胱がん、腎臓がん、精巣がん、皮膚がん、血液がん)のがん腫が出す共通の匂いに反応することがわかっています。一つ一つのがん腫の出すVOCsが判明すれば、すれば、がん腫の診断が可能となり精度も増すことでしょう。感度は87.5%、特異度は90.2%という成績が示されています。

N-NOSE

miSignal®(マイシグナル)

尿検査で高精度に早期のがんの発見が可能な次世代がんリスク検査「miSignal®(マイシグナル)」は尿中のマイクロRNAを抽出し、がんリスクを調べる検査です。全国約20の大学病院・がん研究センターとの共同研究で実現した尿を用いた高精度のがんのスクリーニング検査で、一度に最大10種類のがん(食道、乳腺、肺、胃、大腸、膀胱、膵、腎、前立腺、卵巣)のリスクを判定できます。既存の検査では、腫瘍の大きさ・ステージが進行してからでないと検知できないものがありますが、尿中のマイクロRNAを捕らえる新しい技術が開発され、従来、200~300種類のマイクロRNAしか発見されていなかったのが1000種類以上見つかることになり、がん特異的なマイクロRNAを詳細に解析することが可能となりました。「miSignal®(マイシグナル)」は尿から得られたマイクロRNAをAIで分析することにより、がんの早期発見ができる可能性があります。
感度、特異度ともに92.9%という成績が示されています。

  • 従来の腫瘍マーカーによるがん診断の感度、特異度はおおよそ30~80%と言われていますが、早期がんに関しては更に成績が低下することから、上記2種類の検査はがんの早期発見の契機になると思われます。どちらの検査を選択するかの目安は、N-NOSEは特に気になるがん腫はないが、幅広くがんリスクを知り、対策を立てたい方に、miSignal®は個人の体質(例えばピロリ菌感染症、肥満、糖尿病など)に合ったがん対策を立てたい方にお勧めです。
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