再生医療とは、病気やケガなどによって失われた組織や臓器を再生させ、機能を回復させようとする医療のことを指します。今までの医療では、義肢や人工関節を用いたり、他人の臓器による移植などが行われてきましたが、これらの方法には臓器移植後の拒絶反応、また倫理面など多くの問題があります。これに対し、現在世界中の研究者がしのぎを削っているのが従来医療の課題を克服し、新たな治療の可能性を広げる再生医療の研究です。2014年には世界で初めてiPS細胞からつくられた網膜色素上皮細胞の移植手術が行われ、次世代の再生医療の扉を開く大きな一歩が踏み出されました。今後もパーキンソン病や、心不全の患者さんへの臨床研究が計画されており、20年後には心臓や腎臓などの臓器そのものを作製することも可能になるのではと大きな期待が寄せられています。最近の再生医療で特に期待が高いのは幹細胞と呼ばれる特殊な細胞を利用した治療で、中でも、生体に存在する体性幹細胞に着目した研究です。体性幹細胞での治療は、安全性が高いと言われており、倫理上の問題もないため大きな期待が寄せられています。