点滴した培養幹細胞は体内のどこに行って、どう効いているのか
再生医療の要と言われている幹細胞治療。一番、知りたいのはどのような効果がどれくらい続くのかというところではないでしょうか。幹細胞は様々な細胞に分化する能力と分裂増殖してもいつまでも未分化能を維持している細胞です。ですから、障害を受けて組織に幹細胞が集まり修復してくれるのが一番いいのですが、脂肪由来の培養された幹細胞は遊走能がなく、ほとんどが肺の毛細血管を通り超えられず、肺に留まってしまうのです。ただし、幹細胞は留まった場所で生存し続け、サイトカインやエクソソームを分泌し続けて効果を発揮すると考えられています。分泌されたサイトカインやエクソソームが障害組織を再生し、周囲の幹細胞を活性化することで、効果が持続します。役目を終えた幹細胞はやがて、アポトーシスを起こしてその際にも大量のサイトカインやエクソソームが放出されます。効果持続期間は2~3年と考えられています(個人差はあります)。世界中で行われている治験では、脳梗塞後遺症、肝硬変、潰瘍性大腸炎やクローン病、そして慢性閉塞性肺疾患(主に肺気腫)や新型コロナ感染後の後遺症(間質性肺炎、ブレインフォグなど)に効果があると報告されています。幹細胞は年齢とともに機能が低下し、幹細胞の増殖力も落ちてきますので、65歳から70歳くらいまでが幹細胞治療の限界かんと考えています。
犀星の杜クリニック六本木