前者はいわゆるにきびです。にきびができやすく治りにくいニキビ肌を放置しておくと、表面がでこぼこと荒れて、クレーターのようになります。若い人にできやすく、ニキビ跡が一生、残ってしまうこともある悩ましい状態です。一方、後者はよく加齢性のいぼと間違われる良性の隆起性病変で、原因としてはオイリー肌の方の紫外線による皮膚炎症の後遺症であることが多いようです。高齢の方だけでなく、若い方にも発生します。いずれも皮脂腺からの分泌物が詰まりやすくなることで、2次的に皮膚に炎症が起き、皮膚の異常角化や皮脂腺の過剰な増殖が起きて、皮膚が盛り上がってくるのです。保険による治療では、炎症を抑えるために抗菌剤の内服や外用、皮膚のターンオーバーを改善し、傷んだ皮膚の修復を図るビタミンB、Hや抗酸化作用で皮膚の炎症を抑えるビタミンC、Eなどの内服を行いますが、一旦収まっても、しばらくすると再発を繰り返し、難治性となるケースが見られます。

ビタミンAは皮脂腺を退縮させ、皮脂分泌を大きく減らす作用のあることが知られております 。この作用により、ニキビ菌を減らすことができますし、皮脂腺の分泌物が増えるのも抑制できます。また、ビタミンAは細胞に働きかけて、皮脂腺細胞や表皮細胞を正常化する働きがあります が、これによって皮脂腺が発達しすぎて肥大する「脂腺増殖症」にも効果が認められております 。皮膚の細胞が正常に働くようになれば、異常な角化(皮膚が厚くなり、毛穴がつまる)が起こらなくなり、毛穴がつまらなくなればニキビの炎症や皮脂腺の増殖が起こらなくなるという寸法です。ビタミンAには更に免疫の過剰な反応を調節する作用もあります。例えば紫外線による過度な炎症反応を抑え、皮膚に過剰なダメージを与えないので、予防としても役に立つ可能性があります。副作用としては口、花の粘膜の乾燥や肝機能障害が起こることがあります。若い女性の場合は催奇形性がありますので、内服中および終了後6か月の避妊は必須事項となります。このようなリスクはあるものの、欧米では難治性の尋常性ざ瘡の奏効率は80~90%と言われています。医師の管理の元に治療を行えば、安全性は担保できますので、安心してご相談ください。

犀星の杜クリニック六本木