OTC、及び保険適応になった肥満治療薬
ここ数日、厚生労働省が抗肥満薬を認可したという報道がされています。まずは、ゼニカル(オルリスタット)商品名は「アライ」というOTC医薬品です。OTCとは店頭販売という意味で、薬局やドラッグストアで薬剤師の指導の元、購入できるということです。腸内のリパーゼに作用して脂肪の吸収を抑え、体内に吸収されないようにすることで、ダイエット効果を狙うものです。摂取した脂肪分が全部排出されますので、いわゆる脂肪便となり、我々が日常的に経験する消化不良を起こしているようなものです。油のように緩い便となり、しかも頻回に排出されます。使用された人のレポートではいくら肛門を締めていても、腹圧がかかると漏れてしまうそうです。長期使用しますと脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の不足も招くようです。高脂血症や高コレステロール血症の方で、病院で処方された薬を飲んでも数値がなかなか下がらない場合に良いかも知れません。もう一つはセマグルチド(ウゴーピ)というGLP-1作働薬です。元々は糖尿病治療薬ですが、欧米で肥満症治療薬として認可されているものです。当院で採用しているリラグルチド(サクセンダ)がありますが、前者は週一回の徐放注射剤で、後者は一日一回の注射剤です。サクセンダは毎日の注射が必要ですが、その日の体調や副作用の程度で薬の増減ができる利点があります。ダイエット効果に関しては差がありません。また、適応基準がBMI 35kg/m2以上というしばりが無いので、それ以下の肥満症の方にも投与できます(ただし自由診療ですが)。欧米での豊富な臨床例がありますので、安全性に関してもお墨付きです。
犀星の杜クリニック六本木