慢性疲労症候群(CFS)は以前より、ウイルス感染症後に発症することが知られていましたが、新型コロナ感染症後遺症の一つとして注目されています。症状としては強い疲労感、胃腸不全、筋肉痛、頭痛、集中力の低下、認知機能障害などがあります。いわゆるブレインフォグもその一つと考えられます。最近の研究で腸内細菌の中で、CFSの患者さんである特定の酪酸産生菌が少ないこと、酪酸菌の数と症状の重さが相関することがわかってきました。そのメカニズムははっきりしていませんが、セロトニンを増やす抗うつ剤が有効であることから、セロトニンが欠乏して発症するという仮説があります。実は酪酸菌は腸クロム親和性細胞からのセロトニンの分泌を促進しますので、酪酸菌数と重症度が相関することもうなずけます。一方、CFSのような認知機能や記憶力の低下、うつ病はサイトカインの1種である脳由来神経栄養因子(BDNF)の欠乏によっても生じることが解ってきました。BDNFは糖尿病薬であるDPP-4阻害薬のネシーナや慢性疼痛治療薬のノイロトロピンで増加し、記憶力が向上することが動物実験で証明されています。当院で使用している脂肪幹細胞培養上清液中にもBDNFが含まれています。これらの4者を駆使することにより、CFS、ブレインフォグの治療が期待できると思います。いつでもご相談いたします。

犀星の杜クリニック六本木