NASHから肝がんになった患者さんを提示します。

49才、男性 172㎝ 137.2㎏

診断 非アルコール性脂肪性肝炎

合併症 35才より糖尿病、脂質異常症、脂肪肝(NAFLD)

経過 40才で肝生検によりNASHと診断される。

   44才でIV型コラーゲンの上昇傾向と血小板減少が見られ、肝硬変に移行する。

   49才で腫瘍マーカーαフェトプロテインが上昇し、画像で肝がん発症を確認する。

Labo Data: GOT 65(7~38), GPT78(8~42), γGPT214(16~84),中性脂肪243(30~149),  空腹時血糖245、HbA1c 9.2,白血球 5.5(3.5~8.5),血小板 8.9万(15~35万)

            IV型コラーゲン360.4(0~140),HBs Ag(-),HCV Ab(-)

FIB-4 index 4.05>2.67(肝硬変レベルの線維化を示す)

NASH肝がん症例画像

幸い分子標的薬による治療により、腫瘍は小さくなってきていますが、ウイルス性でもアルコール性肝炎でもないのに、脂肪肝を長期間(約20年)放置することにより肝がんが発生する可能性があることがわかりました。30代、40代で脂肪肝を指摘される方が多いと思いますが、最悪の状態にならないためにも肝臓ドックを受けて、先手の対策を取ることが肝腎です。

 

犀星の杜クリニック六本木