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自由診療の必然性と重要性―保険診療と比較して
保険診療と自由診療の違いを考えてみました。保険診療は厚生労働省がその検査や治療費の一部を健康保険で賄うと認めた診療です。一方、自由診療は診療内容が健康保険で認めていないものが含まれている場合、一切の検査、治療費用が全額自費負担になります。検査や治療の中には保険診療で認められるものが含まれていても、同日に診療費が請求できないため、別日に検査を施行する、あるいは薬を処方するしかありません。ではどうして、厚生労働省が認めない診療があるのでしょうか。特に新しく開発された診療はその安全性、有効性などを示すデータに乏しく、経過をみているということがあります。その他としては、こちらが重要なのですが、予防医療に関するものには保険を適応しないということです。つまり、私は保険診療は病気になってから行うものであり、自由診療はもちろん病気を治すという部分もありますが、大半は病気にならないようにするという医療と考えております。病気になるということは、栄養やミネラルやホルモンをはじめサイトカインなど体の恒常性を保つために必要な成分が、足りなくなるから起こるのです。いくら食事に注意したり、運動をしても加齢性変化にはかないません。今、40代、50代の方で無症状な方でも、あと10~20年後には必ずどこかしら、加齢性変化による体の不調が訪れます。補給はある意味、自分への投資だと思います。倍になって増えるということはありませんが、現状を損なうだけでも多大な損失が生じます。病気になってからではおしまいです。自分に足りないものを見出し、手遅れにならないうちに自分に投資しましょう。私の経験からそう提言させていただきます。
2023.02.24
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OTC、及び保険適応になった肥満治療薬
ここ数日、厚生労働省が抗肥満薬を認可したという報道がされています。まずは、ゼニカル(オルリスタット)商品名は「アライ」というOTC医薬品です。OTCとは店頭販売という意味で、薬局やドラッグストアで薬剤師の指導の元、購入できるということです。腸内のリパーゼに作用して脂肪の吸収を抑え、体内に吸収されないようにすることで、ダイエット効果を狙うものです。摂取した脂肪分が全部排出されますので、いわゆる脂肪便となり、我々が日常的に経験する消化不良を起こしているようなものです。油のように緩い便となり、しかも頻回に排出されます。使用された人のレポートではいくら肛門を締めていても、腹圧がかかると漏れてしまうそうです。長期使用しますと脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の不足も招くようです。高脂血症や高コレステロール血症の方で、病院で処方された薬を飲んでも数値がなかなか下がらない場合に良いかも知れません。もう一つはセマグルチド(ウゴーピ)というGLP-1作働薬です。元々は糖尿病治療薬ですが、欧米で肥満症治療薬として認可されているものです。当院で採用しているリラグルチド(サクセンダ)がありますが、前者は週一回の徐放注射剤で、後者は一日一回の注射剤です。サクセンダは毎日の注射が必要ですが、その日の体調や副作用の程度で薬の増減ができる利点があります。ダイエット効果に関しては差がありません。また、適応基準がBMI 35kg/m2以上というしばりが無いので、それ以下の肥満症の方にも投与できます(ただし自由診療ですが)。欧米での豊富な臨床例がありますので、安全性に関してもお墨付きです。
2023.02.21
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脳が老いてしまう
ある脳科学者が「六十五歳ぐらいを境に、九十歳代、百歳代になってもはっきりしている人と、だんだんフワフワした感じになってくる人とに分かれてくるんです。脳の容量自体もCTとかMRIで撮ると、萎縮が急速に進行する人と、比較的ゆっくりな人がいます」と指摘している。特に、脳の前頭葉機能が衰えてくるため、新しいものに対する好奇心が薄れていくそうだ。このような症状を自覚したら、脳は老いて来始めていると考えた方が良さそうだ。1990年代に発見された、サーチュイン遺伝子が老化を抑制することがわかり、その遺伝子の働きを活性化するのがNAD+という補酵素と判明した。つまり、脳の老いも加齢とともに減少していくNAD+が原因であるため、それを補充すれば老いは防げるのである。NADそのものは消化管で分解され体内に吸収されないため、体内でNADに変換されるNMNで摂ることになる。NMNは緑黄色野菜などにも含まれているが、ごく微量のため、サプリメントとしてとることが有効とされている。認知症にならないためにも、NMNはお勧めのようだ。60を過ぎた私も飲んでいる。
2023.02.19
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腱損傷の治療について
整形外科の診療を行なっていますと肩の痛みを訴える方が大変多いです。50~60歳代の方の痛みは五十型と診断されることが多いですが、特に男性で、受傷機転が不明な場合、腱板損傷(断裂)が原因であることがほとんどです。そもそも、肩の腱板とは何なのでしょうか。肩の関節を支えている筋群の、上腕骨骨頭部に付着している腱の部分をいいます。この筋群は肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋を指します。50~60歳になると、加齢性変化で腱組織が脆くなってきて、ちょっとした外力がかかるだけで腱板は損傷してしまいます。従って、本人は心当たりがないというのです。原因が原因だけに、これといった予防法がありませんので、何に注意したらよいかというアドバイスもできません。また、放置しておいたら自然に治るものでもありません。そこが五十型と違うところでもありますそのまま放置していると、ますます進行して、腱板断裂という状態になると薬物だけでは治らずに外科手術が必要になる場合があります。そこで私どもの施設では、再生医療の手法を用いて、損傷した腱を修復しようとする治療を行っています。自家の血液から抽出したサイトカイン、あるいは他家の幹細胞培養によってできたサイトカインの豊富な上清液を用いて、腱の修復を促します。最近ではプロのスポーツ選手がこの治療を受けたと話題になっているのをご存知の方もいらっしゃるかと思います。手術を回避したいと考えている患者さんはトライしてみる価値はあると思います。
2023.02.12
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NMNの効果報告1
以前、NMNの点滴、及び内服効果の印象を述べましたが、すでに睡眠の質を改善することや、目の網膜の視細胞の機能を向上させることはヒトやマウスの研究で明らかになり、論文となっています。その後私は30日間、NMNサプリを飲み続けたところ、4週目より体重が1㎏減少してきました。食べる量は変わらず、デザートもほぼ毎日食べ続けているにもかかわらずです。調べてみるとNMNはマウスでインスリン感受性と脂質代謝を改善し、エネルギー代謝を増すことが論文報告されていました。現在はヒトで検討中だそうですが、おそらくマウス同様の結果が報告されると思います。糖代謝や脂質代謝が改善することにより、動脈硬化症が改善し、高血圧、心筋梗塞などの心血管疾患の予防や心血管機能の改善が期待されます。私も更に内服を続け、4月に血液検査と心機能検査をします。どういう結果になるか楽しみです。また、皆さんに報告しますね。
2023.02.10
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出産後脱毛症
フリーアナウンサーのMさんが出産後の脱毛症で悩んでいるニュースがありました。出産後2~3か月で発症することが多いようです。原因はホルモンバランスの崩れ、特にエストロゲンホルモンが急激に減少するために、毛周期の休止期が延長し、その結果脱毛が増えるためと考えられています。その他、脱毛を助長する要因として、産後の急激な栄養不足や育児ストレスなどが挙げられます。半年ぐらいすると回復してくることが多いですが、長期に脱毛が改善しない方もおります。基本的にはミノキシジルの塗布による治療がお勧めです。局所投与であれば、授乳に影響はほとんどありません。栄養に関しては出産で消費してしまったビタミンB群、鉄、マグネシウム、亜鉛、葉酸などとタンパク質を十分に摂ることが大事です。育児ストレスは防ぎようがありませんが、家族が協力してくれているという安心感があるのとないのとでは違うと思いますので、受診されるときは家族同伴が望ましいでしょう。
2023.02.06
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新型コロナ感染症の後遺症対策
新型コロナ感染症の後遺症で特に問題となっているのは脳神経障害(ブレインフォグ)と呼吸器障害(肺線維症)ではないかと思います。いずれもウイルス感染による炎症反応後の生体反応が過剰に引き起こされ、細胞障害や線維化が起こった結果と考えられます。炎症による組織障害でありますので、慢性的な炎症を抑えることで病状の進行を遅らせること、傷んだ組織を修復させ機能を回復することが治療の根幹となります。慢性炎症をコントロールするには抗炎症性サイトカインが有効と思われます。炎症が抑えられると、組織の障害は減り、その後に起こる線維化が抑制されます。脂肪幹細胞培養上清液中には抗炎症性サイトカインが含まれており、かつ神経再生因子も含有されています。上清液の全身投与、もしくは局所投与(この場合、鼻腔スプレーによる噴霧)はブレインフォグや肺線維症に少なからず良い影響を与えるものと思われます。また、神経機能回復の観点でいうと、NMNは動物実験で神経を保護し、代謝を活性化することにより機能回復が得られるという結果が報告されています。後遺症で悩まれている方に一つの解決法を提案します。
2023.02.02
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抗がん剤や放射線治療、ホルモン療法後の副作用対策
当院では肝臓にいいとされるビタミンを始めとしたアミノ酸等の注射治療も行っています。美容目的と異なり、患者さん個々に応じたビタミンやアミノ酸の組み合わせを提唱しております。治療前に問診を含めた診察を丁寧に行っております。希望で血液検査も承っております。通常の健診で行うよりも項目が多く、有用性の高い検査です。グリチルリチン、L-システイン、グリシンの配合された強力ミノファーゲンC注は肝細胞の増殖促進、抗炎症作用で肝庇護をします。例えば、抗がん剤やホルモン治療後の薬剤性肝障害に威力を発揮します。αリポ酸(チオクト酸注)も強力な抗酸化作用により、グルタチオン(タチオン注)は強力な解毒作用により、薬剤で引き起こされた肝細胞障害を軽減します。その他、抗がん剤や放射線治療で発生した活性酸素(スーパーオキシド)は、正常細胞を傷害し、様々な副作用(白血球減少、口内炎、下痢、倦怠感)の原因となりますが、高濃度ビタミンCはこの活性酸素を除去する作用があります。また、抗がん剤や放射線に暴露した正常細胞は遺伝子が障害されることにより老化が早まることが知られております。老化を抑制するのがNAD+と呼ばれるナイアシン(ビタミンB3)の代謝産物です。NAD+は分子量が大きく、細胞内に取り込まれにくいため、分子量の小さい前駆体の状態で投与されるのが、効率が良いとされています。これがNMNと呼ばれるものです。急性期の副作用対策に高濃度ビタミンCを、慢性期も副作用にはNMNを使い分けるのがお勧めです。
2023.02.02
