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    細胞療法の将来

    T細胞と呼ばれる免疫細胞の表面にあって免疫応答のブレーキ役(「免疫チェックポイント」と呼ばれる)として働くCTLA-4というタンパク質を発見し、がん治療の新たな道を切り開いたとして、ノーベル生理学・医学賞を受賞したジェームズ・P・アリソン氏は、2035年までに幹細胞療法の普及率が85%を超え、世界中の何十億もの人々に老化を遅らせ、健康を改善するという新たな希望をもたらすと予測しています。技術の進歩により更に細胞療法の適応症は拡大し続け、将来的には90%以上の疾患の主な治療法となり、医学の新たな一章を開くことが期待されています。細胞療法は最先端の分野として、前例のない速さで病気の治療と健康管理のモデルを変えています。この分野には主に幹細胞療法と免疫細胞療法が含まれます(引用元 SCテクノロジースター)。 幹細胞療法 幹細胞はさまざまな組織、臓器、ヒト細胞に再生する可能性を持っているため、「万能細胞」として知られています。幹細胞療法は、健康な幹細胞を患者の体内に移植し、損傷した細胞や組織を修復または置き換えて、病気の治療や老化防止の効果を期待するプロセスです。従来の治療法で効果がない場合、幹細胞療法がより良い選択肢となり得ます。 免疫細胞療法 免疫細胞は人間の免疫システムの「守護者」であり、侵入した細菌、ウイルス、その他の病原体を正確に識別して排除することができます。その中でもNK細胞は大きな注目を集めています。NK 細胞は事前の感作なしに腫瘍細胞を認識して攻撃することができます。これらは、パーフォリンとグランザイムを放出して腫瘍細胞を直接殺すことができ、またサイトカインを分泌して他の免疫細胞を活性化し、抗腫瘍免疫反応を強化することもできます。腫瘍治療における補助的な治療法として、患者の治療効果の向上、再発の予防、体質改善に寄与すると考えられています。 一般的な適応症における幹細胞の役割 ◎ 糖尿病:幹細胞は膵臓β細胞に分化し、損傷した膵臓β細胞を補充し、インスリン分泌を増加させ、免疫を調節し、膵臓β細胞に対する自己免疫攻撃を抑制し、血糖コントロールの改善が期待されます。 ◎ 早発卵巣不全:幹細胞治療を受けると、早発卵巣不全の患者はエストロゲンレベルが上昇し、月経周期が正常に戻ります。幹細胞は卵巣細胞に分化し、卵巣組織を修復し、卵巣機能を改善し、無月経などの症状を緩和することが期待されます。 ◎ パーキンソン病:臨床現場では、一部のパーキンソン病患者が幹細胞治療を受け、運動機能が改善が報告されています。幹細胞はドーパミン作動性ニューロンに分化し、損傷したニューロンを補充し、ドーパミン分泌を増加させ、震えや硬直などの症状を緩和すると言われています。 ◎アンチエイジング:幹細胞によるアンチエイジング治療を受けた人からは、肌が引き締まり輝きが増し、エネルギーが増したという報告があります。幹細胞は成長因子とサイトカインを分泌し、細胞の増殖、組織の修復を促進し、細胞の老化を遅らせ、体の状態を改善することが期待されます。 現在、幹細胞の適応症と考えられる疾患には(1型および2型糖尿病、早発卵巣不全、パーキンソン病、膝関節炎、慢性閉塞性肺疾患、肝硬変、腎臓病、三大高血圧など)が含まれます。 免疫細胞(NK)がさまざまな癌に及ぼす影響 ◎ 肺がん:進行性非小細胞肺がんのベトナム人患者が、複数の治療が失敗した後、NK細胞併用療法を受け、 6回の治療後、原発腫瘍はほぼ半分に縮小し、縦隔病変と鎖骨上リンパ節は消失し、症状は緩和しました。 NK細胞は肺がん細胞を認識して殺し、腫瘍の増殖と転移を抑制する可能性が示唆されます。 ◎ 胃がん:研究によると、胃がん患者の中には、NK細胞併用化学療法を受けた後に生存期間が長くなる人がいることがわかっています。 NK細胞は胃がん細胞を攻撃し、化学療法との相乗効果が期待されています。 ◎ 肝臓がん:臨床例では、NK細胞療法を受けた肝臓がん患者の一部で腫瘍マーカー値が低下した報告がされています。 NK細胞は肝臓がん細胞を直接殺し、体の免疫力を調節し、腫瘍の微小環境を改善し、肝臓がんの進行を抑制する機序が想定されています。 ◎大腸がん:NK細胞療法により病状のコントロールができた患者さんもいるという報告があります。 NK細胞は大腸がん細胞を正確に攻撃し、腫瘍量を減らし、治療に積極的な役割を果たします。 以上のように、NK免疫細胞は、さまざまながん(肝臓がん、肺がん、甲状腺がん、大腸がん、乳がん、卵巣がんなど)の治療に役立つ可能性があります。 幹細胞療法であれ免疫細胞療法であれ、患者は治療に適しているかどうかを予備的に評価し、専門家の指導の下で個人的な治療計画を立てて、細胞療法が安全かつ効果的で、身体に有益であることを確認する必要があります。 細胞療法は医学の未来を変えつつあります。腫瘍や遺伝性疾患の治療から再生医療やアンチエイジングまで、この技術革新は医学の新たな地平線を切り開き、将来的には多くの病気の主な治療法となることが期待されています。この変化は病気の治療パラダイムの大きな転換を意味し、この病気の患者さんに新たな福音をもたらすことでしょう。

    2025.04.01

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    10月10日の診療開始時間の変更

    10月10日の木曜日に某テレビ局生出演のため、診療開始時間が11時からとなります。どうぞ、宜しくお願い申し上げます。

    2024.09.19

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    幹細胞上清液とがん治療

    一般的に幹細胞の上清液は細胞増殖を促すサイトカインが含まれているため、がん患者さんへの使用は避けられています。しかし、上清液には細胞を自然死(アポトーシス)させるサイトカインや免疫能を上げたり、炎症を抑えたりするサイトカインも多く含まれているので、条件さえ合えばがんの治療にも有効であると考えております。私どもはヒトがん細胞株を用いて、上清液ががん細胞の増殖を促すか否か、実験的に検証してみました。結果はおおよそのがん細胞で増殖を抑制するものでした。別の上清液を用いたところ、がん細胞は増殖傾向を示したので、私どものプロトコールで作製した上清液は、がん患者さんに対しても安心して使用できると考えております。実際、広島大学(乳がん、子宮頸がん)、千葉大学(乳がん)。国立がん研究センター研究所(肝がん)ではエクソソームに含まれるmiRNAにがんの進展や転移、発生を抑制するものがあると報告しています。その作用機序としては、全身の免疫能を向上し、がんの進展を抑えること、疼痛がある患者さんでは痛みを抑制し、痛み止めの使用量を減らすこと、がん細胞のアポトーシスを誘導し、腫瘍を縮小させるなどが考えられています。その結果、機能の低下した臓器が回復し、がんに打ち勝つ環境を作ります。がんの治療が満足な結果でない、期待した効果が得られない方はまず、自分の免疫能を活性化する治療を検討してみてはいかがでしょうか。当クリニックはそのようなお悩みを持つ方々をサポートしたいと考えております。

    2024.07.25

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    神経系の再生医療に乳歯髄由来幹細胞培養上清液が著効

    脳梗塞や脳出血後遺症で、まだ拘縮していない手足が不自由な方、軽度認知障害の方には乳歯髄由来幹細胞培養上清液治療が有効である可能性があります。乳歯髄由来の上清液には神経栄養因子や神経成長因子が多く含まれ、特に中枢神経系のダメージを改善すると言われています。高品質な乳歯髄由来の幹細胞上清液は稀少で手に入りにくいですが、当院では本上清液を作製している細胞培養施設と提携しておりますので、安定的に入手することが可能です。難治性の神経疾患はいずれも効く可能性があります。発症後早期であればあるほど有効ですので、少しでも力になれればと思います。相談だけでも構いませんので、気軽な気持ちでご連絡ください。お待ちしています。

    2024.07.08

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    ご高齢の方の再生医療をどう考えるか

    70歳を過ぎた方には、幹細胞治療よりも幹細胞培養上清液治療をお勧めします。自身の幹細胞の活性が高ければ、サイトカイン等を産生する能力が高く、治療効果を期待しやすいと考えられますが、活性が低い場合は効果が薄いと思われます。幹細胞を培養した際、増殖速度が遅い、細胞の動きが弱いなどの所見が見られた場合、細胞活性が低いと予想できますが、培養する事前には予想が付きません。手間隙をかけて効果が薄いのでは、その間に病状も進行してしまう恐れがあります。今では疾患に相性の良い様々な上清液が開発され、手に入りやすくなっています。治療効果持続期間は大体2~3ヶ月と言われています。疾患に合わせた上清液を選択し、適量を投与して治療されることを推奨します。幹細胞治療対象疾患より、より広範囲の疾患に対応できるのも魅力です。是非、ご検討してみてください。

    2024.07.08

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    点滴した培養幹細胞は体内のどこに行って、どう効いているのか

    再生医療の要と言われている幹細胞治療。一番、知りたいのはどのような効果がどれくらい続くのかというところではないでしょうか。幹細胞は様々な細胞に分化する能力と分裂増殖してもいつまでも未分化能を維持している細胞です。ですから、障害を受けて組織に幹細胞が集まり修復してくれるのが一番いいのですが、脂肪由来の培養された幹細胞は遊走能がなく、ほとんどが肺の毛細血管を通り超えられず、肺に留まってしまうのです。ただし、幹細胞は留まった場所で生存し続け、サイトカインやエクソソームを分泌し続けて効果を発揮すると考えられています。分泌されたサイトカインやエクソソームが障害組織を再生し、周囲の幹細胞を活性化することで、効果が持続します。役目を終えた幹細胞はやがて、アポトーシスを起こしてその際にも大量のサイトカインやエクソソームが放出されます。効果持続期間は2~3年と考えられています(個人差はあります)。世界中で行われている治験では、脳梗塞後遺症、肝硬変、潰瘍性大腸炎やクローン病、そして慢性閉塞性肺疾患(主に肺気腫)や新型コロナ感染後の後遺症(間質性肺炎、ブレインフォグなど)に効果があると報告されています。幹細胞は年齢とともに機能が低下し、幹細胞の増殖力も落ちてきますので、65歳から70歳くらいまでが幹細胞治療の限界かんと考えています。

    2024.07.08

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    N-NOSE検査を受けてみて

    当院で実施しているN-NOSE早期がんスクリーニングテストを私も受けてみました。15種の方でしたが、判定はCでした。A~Cは半年から1年の間隔で定期検査を行うことが推奨されています。私はお正月前にもう一度受けます。Cまではがんのリスクはほとんど変わらないぐらいですが、Dになると格段に跳ね上がります。D以上が出た方は、DWIBS全身MRI検査と肺CT検査を受けて頂きます。消化器系の精査も当院で可能です。場合によっては、その後協力総合病院にて精査を受けていただきます。特に膵臓系は診断が困難なため、紹介させていただきます。保険診療の範囲内でできるものとできないものがあり、スタッフに相談いただいております。因みに尿中マイクロRNAがんスクリーニングテストというものもありますが、今のところ、N-NOSE検査の方が、データ数が多く論文も多く出されていますが、データが更にアップデイトされれば、将来的には当院も考慮していきたいと考えております。

    2024.06.13

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    日本における変形性股関節症と再生医療

    変形性股関節症とは何らかの原因で股関節の内側の軟骨がいたみ、すり減ってしまう病気をいいます。最初は立ち上がりや歩き始めに足の付け根が痛い、長時間の立ち仕事で重だるい痛みを感じるようになり、進行すると痛みは股関節だけではなく太ももや臀部、膝に感じるようになります。股関節周囲の筋肉が硬くこわばって、関節の可動域が狭くなってくるので、「靴下がはきにくくなった」「足の爪が切りにくくなった」「あぐらがかきにくくなった」などの症状が出てきます。可動域が狭くなるので、左右に揺れて歩くというのもこの病気の特徴です。 発症年齢は40〜50歳代の女性に多く、男性の7倍ともいわれています。変形性股関節症の有病率(病気をしている人の人口に対する割合)は、1.0~4.3%と言われており、これを国内の人口で換算すると、およそ120万~540万人にも上ります。原因の多くは小児期の先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全(股関節の骨盤側の受け皿が浅い)の後遺症として発症しますが(二次性変形性股関節症)、小児期に自覚症状がないまま、高齢成人になってから発症する場合もあります。それに対し、加齢や超過した体重により関節軟骨が少しずつ減少して発症する一次性変形性股関節症が約1割あるとされています。 変形性股関節症はX線所見により重症度が4段階に分類されます。軽症例は保存的治療(免荷、リハビリなど)で、重症例は手術的治療の対象となりますが、中等症に対しては今まで、薬物療法が主となってきました。しかし、薬の副作用や耐性の問題で長期間治療が続けられない方たちは、止む無く手術的治療を選択せざるを得ませんでした。 3年前、変形性股関節症にもヒアルロン酸注射が認められるようになり、消炎鎮痛剤と混合した注射製剤も開発されましたが、アナフィラキシーショックの副作用の問題があり、普及していないのが現状です。そこで、変形性膝関節症で行われていた再生医療であるPRP療法やPFC-FD療法が変形性股関節症にも応用され、一定の効果が報告されるようになりました。これらの再生医療は自己の血液を元に作製されるもので、その安全性は確約済みのものですので、安心して治療が受けられるのが最大のメリットです。 当院では令和6年の6月より、股関節の患者さんにもPFC-FD療法を実施する体制を整えました。当面の適応条件として①CE角が15度以上、②円靭帯の部分断裂が無い、③関節唇が肥大していないことを満たした患者さんで施術しております。適応判断のため、X線とMRI検査は必須としております。しっかりと施術前検査を行い評価し、適切な医療を患者さんに提供することを意識して診療しております。 治療法はPFC-FDが2回分作製されますので、1回目の注射をしてから2週間ぐらいしてから、2回目の注射を行います。その後1週間してから、リハビリテーションを3か月から6か月継続します。その後、MRI検査により治療効果を検証します。様々な不安や疑問に対応するよう、準備しておりますので、どうぞ、いつでも気楽にご相談ください。  PFC-FD治療を受けられた変形性股関節症の方の自分でできるリハビリーション(股関節を鍛える運動・ストテレッチ) 変形性股関節症のPFC-FD治療後の筋肉トレーニングをご紹介します。まず、急な筋肉トレーニングはかえって関節や筋肉を痛める原因となりますので、必ず先にストレッチを行ってほぐしてから、筋肉トレーニングをするようにしましょう。また、過度に負荷をかけることは、治療後経過を悪化させる危険性があります。ストレッチや筋トレは痛くない範囲で行い、股関節の痛みが強いときは無理に行わないように注意しましょう。セルフケア中に痛みなど症状が現れたり悪化したりするときは、すぐに中止して、速やかに当院の診察を受けるようにしてください。   股関節の動きをよくするストレッチ 太もも前面を伸ばすストレッチ(左右30秒×3セット) ① 壁に正面を向けて立つ ② 片手で壁に手をついて、体を支える ③ 反対側の足を曲げて、足首を持つ 股関節とお尻を伸ばすストレッチ(左右30秒×3セット) ① 仰向けに寝る ②  片ひざを抱え胸の方に引き寄せる   太ももの内側を伸ばすストレッチ(30秒×3回) ① 足を開いて座り(開脚)、手はそれぞれ太ももの上に乗せる(※手を体の前に出しても可) ② 手をつま先の方に滑らせるようにして、上半身を前に倒す 股関節周辺の筋肉トレーニング 太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えるトレーニング(左右10回×3セット) ① 仰向けに寝て、両膝を直角になるように曲げる ② 片膝だけ伸ばして、上に上げられるところまでゆっくりと上げて、8秒静止する ③ ゆっくりと足を下ろす ※イスに座って行っても良い   お尻と太もも裏(ハムストリングス)を鍛えるトレーニング(10回×3セット) ① 仰向けに寝て、足を肩幅に広げて、膝を立てる(手は体の横に置く) ② ゆっくりと腰を床から上げ、上げられるところまで上げたら8秒静止する ※息を止めると血圧が上がりやすいので、普通に呼吸をしながら行いましょう! ③ ゆっくりと腰を下ろす   お尻の横の筋肉(中殿筋)を鍛えるトレーニング(10回×3セット) ① 床に肩幅程度足を拡げて立つ ② 足首の上で運動用のゴムバンド(なければ、ベルトで代用可)を少し緩めに(少し遊びがあるように)巻く ③ 足を左右同時に外側へ開く ④ 開けるところまで開いたら、8秒静止 ⑤ ゆっくりと足を閉じる

    2024.06.10

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    認知症及びサルコペニア(筋肉減少症)検診の勧め

    まだ、認知症に至っていない早期認知障害や最近、増加傾向にあるサルコペニアは血液検査(自費)により、早い段階で診断できるようになりました。早い段階であれば、進行しないうちに予防治療(自費)が可能となります。健康寿命を長く保つための画期的医療の誕生です。ご関心のある方は犀星の杜クリニック六本木までお問い合わせください。丁寧に対応します。

    2024.05.31

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    股関節腔内注射の開始

    当院では変形性膝関節症に対する血小板由来成長因子の関節腔内注射治療(自費診療)を行ってきましたが、6月より変形性股関節症の方にも本治療を開始しました。今まで、股関節症の方の治療法は無いに等しく、股関節症でお悩みの患者さんには朗報とも言えます。お困りの方は是非、ご相談ください。お待ちしております。

    2024.05.31

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